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風音屋(@kazaneya_PR) 共同代表の竹信です。
本稿は datatech-jp Advent Calendar 2023 22日目の記事になります。

本稿でお伝えすること

SaaS含むITツールのオペレーション設計の視点から、データ活用・データマネジメントの考え方を組織に落とし込んでいくアプローチについて紹介します。

メッセージサマリ 参考:ビジネスプロセスの教科書をもとに筆者が図式を追加し、作図

重要だが、投資されづらい「データマネジメント」

昨今、データ分析・エンジニアリングの広がりとともに、データマネジメントにおいてもさまざまなツールが発展し、テクニカルに解決できることも増えてきました。
特に、データ分析・エンジニアリングに関わる人にとって、「データを適切に管理し、安全かつ効率よくデータ活用できるようにする」重要性は、すでにご理解いただいてる通りかと思います。

一方で、インプレス総合研究所が実施した、データマネジメントに携わる担当者からのアンケート調査結果を見てみると、
効果期待と足元の取り組み状況へ課題は感じつつも、費用対効果を説明できず、課題改善への投資ができていない企業が多い」状況にあるようです。

データマネジメントの効果への期待

  • 企業がデータマネジメントに期待する効果を聞いたところ、「業務の効率化・生産性の向上」が72.6%、「意思決定の迅速化」が51.1%、「デジタルトランスフォーメーションの推進」が44.7%
  • いずれも多くの企業が直面している大きな経営課題であり、データマネジメントがその解決につながると期待

データマネジメントへの取り組み・投資の状況

  • データアーキテクチャの策定状況を聞いたところ、策定済みである企業は約1割
  • 企業のIT投資予算に占めるデータマネジメントに関わる投資を聞いた設問では、54.1%の企業で「5%未満」
  • データマネジメントに関わる投資の効果の明確化について聞いたところ、「明確になっている」または「ある程度は明確である」と回答した企業は合わせて1割強であり、ほとんどの企業では明確化していないと回答

出典:インプレス総合研究所『データマネジメントの実態と最新動向2024』

私見ではありますが、実際に投資判断をするビジネスサイドの視点から捉えると、

  • 自社において、データマネジメントに投資した時の現在・未来の利益改善余地がどの程度あるのか
  • 具体的に現場のどの課題をどう解決できるのか or どの業務がどう高度化されるのか

という疑問に答えられないため、直感的に価値があるものなのかがわからず、予算をつけられない構造になっているように見えます。

「具体的に何が良くなるのかイメージがつかず、ROIがわからないから投資されない」課題。
プロダクト開発などの現場でもよくあるテーマですが、データマネジメントにおいては、どんな切り口から取り組んでいくべきなのでしょうか。

データと業務の交差点となる「ITオペレーション」

今回は、アプローチの一つとして「ITオペレーションの最適化から取り組むアプローチ」をご紹介します。
ITオペレーションとは、「SaaS含むITツールを使って実施され、データのInput/Outputを伴う一連の業務プロセス」を指します。

わかりやすい例で言えば、SalesforceなどのSFAやワークフローツール。
また、ExcelやSpreadsheetを介した業務プロセスも、これに当たると筆者は考えます。

ビジネス部門が課題を共感しやすく運用に乗りやすい「業務プロセス」と、データ生成元としてコントロールしやすい「ITツール」の2つをセットにしたITオペレーションに作用する形で、データマネジメントを実現していくアプローチです。

ITオペレーションの作用イメージ

このアプローチの特徴は、3つあります。

1. ビジネス部門の課題を起点に語りやすく、ビジネス部門の関心を生み出しやすい

ITオペレーションは、現場ではノンコア業務(利益を生み出さない業務)に当たることが多い一方、マネジメントサイドではそのデータをもとにした意思決定やビジネス上の重要なアクティビティに使われることが多いです。

  • マネジメントサイド:正しい意思決定を支援すること、ミスのない業務を実現できるようにすること
  • 現場サイド:業務そのものを効率化すること、間違えた入力をしないように支援すること

と、予算決定者がマネジメント・現場サイドのそれぞれで感じる課題を元に、意思決定しやすい材料を作ることができるため、関心を生みやすいと考えます。

(参考)営業でのITオペレーション整備・改善の一例

マネジメント/現場 課題例 ITオペレーション整備・改善で実現できること
マネジメント データ入力の粒度がまちまちで現場の整理に時間がかかり、タイムリーなKPI管理ができていない 正規化されたデータがタイムリーに蓄積・集計されるようにすることで、タイムリーなKPIマネジメントに加え、複数の軸での分析・課題整理が可能に
現場 自由記述や入力内容が多く、案件/商談のステータス入力が面倒 営業フェーズごとに取得したい項目を絞って表示し、正規化された選択項目から選択するだけで、短時間で案件/商談管理が可能に

2. 業務フローの整備とともに、正しいデータ入力ができるルールメイク(運用ガイド)をビジネス部門に装着できる

ITオペレーションの整備・改善は、直接的にビジネス部門の業務フローを変化させることにつながります。
特に、1.でマネジメント・現場へのインセンティブを明確にすることで、業務フローの変更にも必然性が出るため、(ビジネス部門の巻き込みや準備は必要ですが)ITツールが適切に運用されるルール浸透が実現されやすくなります。

ガイドとルールの作用

3. 中小企業でも始めやすい手軽さがある

データ活用やデータマネジメントを始めようとすると、

  • データ組織を作り、体制を作り、データエンジニアとデータスチュワードを採用・育成して...
  • エンジニアの方を採用して、まずはデータ基盤を作り...

と、大企業やエンジニアのいるスタートアップなどが使えるナレッジが多く、中小企業が始める時の一歩目が浮かびづらい印象を感じます。

しかし、このアプローチなら、業務プロセスとよくあるITツールに焦点を向けているため、企業規模に関わらず取り組みが行いやすいという利点も多いです。
この視点は、特に風音屋を経営する中で、さまざまな業務プロセスを整備する際に感じました。

例:風音屋の場合、経理業務の一部でSpreadsheetなどを利用しています

Sheetイメージ

データ階層イメージ

参照:Data Management Guide - 事業成長を支えるデータ基盤のDev&Ops
※現在では、兼業エンジニア 樋口(@toiroakr)さんにより「請求書作成・提出システム」に進化しています。

ITオペレーション×データマネジメントの進め方と未来

中小企業でもできるとはいえ、こうした業務改善プロジェクトは、立ち上げからその後の運用まで非常にコストがかかりがちです。
そのため、以下のような形で「MVPを作って、スケールメリットがあるなら仕組みに投資する」流れで進めるケースが多くなるかと思います。

  • 最初に小さく、課題が顕在化している領域から始める
  • 業務の流れを見て、現場とマネジメントの課題を聞いて、踏まえてあるべき姿と現状を描く
  • データ活用の一歩目は業務効率化で巻き込んで、お試しで始める
  • お試しで初めて価値が出たら、その先の展望も描いて広げる
    • 効率の良いツール設定・業務ルール・ガイドを作り、浸透させる
    • 継続的に運用改善が回すうえで、属人化しない仕組みを作る
    • 成功事例を横展開して、対応するビジネスプロセスを広げる

スタートアップを中心とした一部の企業では、こうしたITオペレーションの最適化を「BizOps」という職種が担うケースも増えてきています。

今後、

  • BizOpsのように、ビジネス部門がITオペレーションの改善の延長線としてデータマネジメントの担い手になっていく
  • データオーナーやデータスチュワードに該当する役割の人が越境し、業務プロセス・ITオペレーションにも関与していく

といった流れで、「ビジネスプロセスの最適化に投資する形で、データマネジメントが実現される」未来もやってくるのではないでしょうか?

終わりに

風音屋でもデータ基盤の構築を拡大していく中で、コンサルティングサービスとしてデータマネジメントの支援を行っており、「データマネジメントコンサルタント」の採用を募集しております。
さまざまな業種・ビジネスモデルの「事業経営に必要なデータ」「業務プロセス」をキャッチアップし、1社の経験だけではまとめきれない「ナレッジ」を積み上げていく、非常に面白いお仕事です。

WillやCanがあれば、

  • アナリストとして各社の事業経営のイシューを分析して、クライアントの意思決定に介在する
  • コンサルタントとして課題解決を推進・提案して、クライアントの業務・組織をより良いものに変えていく

ところまで、貢献価値を広げていけるポジションだと自負しております。

ビジネスサイドとデータマネジメントの越境による、新しい価値創造にご興味のある方と、ぜひ一緒に働ければ嬉しいです。
以下にてカジュアル面談も行なっておりますので、ご連絡お待ちしております。

採用サイト

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Author: mizuki_takenobu

竹信(@mizuki_takenobu)。 風音屋の共同代表。 エンタープライズ企業へのコンサルティング提供から、社内の経理マニュアル整備まで、何でも屋として日夜奮闘中。